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インドのNPCIの存在感が高まる RuPayカード、即時決済サービス、UPIで新サービスを発表

2023年11月17日8:00

National Payments Corporation of India(インド国立決済公社、NPCI)は、インド・ムンバイで2023年9月5日~7日まで開催された「Global Fintech Fest (GFF) 2023」の中で、新商品・新サービス、パートナーとの連携を続々と発表した。

即時決済ネットワークで変革
RuPayは若年層向けプリカも発行

NPCIは、インドのリテール決済システムを運営する統括組織として設立され、インド国内に重要な決済インフラを構築している。世界各国で即時決済ネットワークの動きが加速しているが、その代表例の1つがインドである。NPCIは、RuPayカード、即時決済サービス(IMPS)、ユニファイド・ペイメント・インターフェイス(UPI)などの決済商品群により、人口14億人強のインドにおける決済に変革を起こしている。例えば、2016年に開始したUPIの年間取扱高は急激に伸びており、NCB Report(2023年10月号)によると、6年間で481倍となっている。

NPCI チーフオペレーティングオフィサー(COO) Praveena Rai氏

RuPayクレジットカードに関しては、会場でUCO BANKと「RuPay Merchant Credit Card」、Canara Bankと「RuPay Merchant Credit Card」、Bank of Maharashtraと「Merchant Credit Card at the GFF Premier」を発行すると発表した。

UCO BANKと「RuPay Merchant Credit Card」を発表RuPayクレジットカード

また、RuPayクレジットカードを利用して分割による月割 (EMI:Equated Monthly Installment)により、高額な商品などを複数回に分けて支払える機能を紹介した。

EMIに参加の金融機関とアプリ

イベント期間中、NPCIは複数の発行銀行やFinTechプレーヤーと提携し、RuPayプリペイドカードを発表している。SBIネーション・ファースト・トランジット・カードはメトロ、バス、その他の交通機関において、タップ&ペイでキャッシュレス移動が可能だ。 

RuPayによる鉄道乗車のデモ。すでにデリー、ムンバイ、コーチ、チェンナイで乗車が始まっているという(国際ブランドのタッチ決済は利用できない)

Prezzy – プリペイドギフトカードは、EuronetによるRuPayで使えるプリペイド・ギフトカードで、従業員や同僚への贈答を簡素化する。FamX- プリペイドカードは、名前と落書きでユニークにカスタマイズされたカードで主にZ世代などが利用できる。

オーストラリアからインドに進出したPepper Money IndiaのPepperMoney Dreams RuPay プリペイド カードは、特典と地域限定のサービスを搭載したパーソナライズされたプリペイドカードとなる。同社は地方や村人などクレジットカードを持てない、持ちたくない層にプリペイドカードを訴求するという。若い世代を中心に利用者の開拓を目指しているが、将来的にはクレジットカードの発行も視野に入れている。

「PepperMoney Dreams RuPay プリペイド カード」を発行(Pepper Money Indiaブース)

リングや音声決済も
ペイメントウォールと提携

また、インドの新興企業LivQuikと共同で、NPCIはインド初の非接触型決済ウェアラブルリング「OTG Ring」を発表した。インドの全国共通モビリティ・カード(NCMC)の利用者や、さまざまなオープンループ交通プログラムに使用することもできる。

リング以外にもさまざまなウェアラブル製品を展示

イベント期間中、NPCIはAmazon Alexa(アマゾン・アレクサ)と共同で、Echo Showのアレクサに簡単な音声コマンドを送るだけでスマート・スピーカーEcho ShowのAlexaに簡易に音声コマンドを与えることで、Peer to Peer(ピア・ツー・ピア)の送金を行うプロトタイプを展示した。ユーザーがアレクサに自分の銀行口座から連絡先の口座に直接送金するよう頼むと、送金できることを実演した。利用者は、銀行口座から連絡先や携帯電話番号に直接送金が可能だ。現在、顧客は電気、携帯、ガス、DTHなどの公共料金の支払いをEchoスマートスピーカーで音声対応のデジタル決済を行うことができる。会話による支払いも開始された。

Amazon Alexaとの連携も発表(Amazonブース)

NPCIの完全子会社であるNPCI International Payments Limited(NIPL)は、米国の決済プラットフォームであるPaymentwall Ltd.(ペイメントウォール)との提携を確認する最終契約を締結した。同契約は、米国と英国におけるペイメントウォールのeコマース加盟店において、インド国外でのUPI決済の受け入れを拡大することを目的としている。両社の提携は米国市場にとって初めてのことで、NIPLの海外市場への継続的な拡大につなげる。また、UPIがペイメントウォールの代替決済手段(APM)に組み込まれる。さらにペイメントウォールはNIPLと協力し、UPIの適用範囲を世界の他の主要市場にも拡大する予定だという。

ペイメントウォールとの提携を発表

日本関係の企業が発表したQR活用の「UPI-ATM」
「UPI AutoPay on QR」やIDのフューチャーフォン対応

NPCIは相互運用可能なUPI-ATMを紹介することで、インドのATMの利用を再定義している。UPI-CashによるATMでの現金引き出しにより、参加銀行の口座保有者であれば、UPI対応ATMでUPIアプリケーションを使って現金を引き出せる。具体的には、金額を入力すると、ATM画面にワンタイムのQRコード(署名付き)が表示される。利用者は UPI APPを使用して QR コードをスキャンし、アプリで UPI PIN を使用して取引を承認する。これにより、物理的なカードを使用する従来の方法を排除し、取引プロセスを簡素化する。なお、Hitachi Payments Services は、動的な QR コードを表示する画面を備えたATMを発表している。

Hitachi Payments Servicesは動的QRでATMを利用できる機器を発表

注目を浴びたのが「UPI AutoPay on QR」だ。利用者はQRコードをスキャンしてAutoPayの詳細を確認し、すぐにサービスを有効化できる。従来よりも迅速な方法でサービスを有効化することができ、顧客が定期的な支払いを設定するための方法を提供する。

NPCIはAadhaarenabledオンボーディング機能をUPI 123PAYに拡張すると発表した。これにより、フィーチャーフォンのユーザーは、Aadhaarカード番号を使用してUPI IDを確立できる。つまり、 スマートフォンやネットバンキング、カード、ウォレットなどのデジタル決済手段を持たない人でもシームレスにUPI 123PAYに登録し、銀行口座から直接支払いできる。

NPCIとIndian Highways Management Company Limited (IHMCL)は、リチャージを提供するため、FASTagにQRを掲載する仕組みを開始している。UPIのQRコードはタグの粘着性のない端に記載され、顧客はQRコードをスキャンするだけで、チャージが可能だ。また、NPCIはIHMCLと共同で、「有料道路業界の進化と革新」と題するホワイトペーパーを発表している。同文書には、FASTagプログラムと全国電子料金徴収(NETC)システムの変革の道のりが記されている。

IHMCLとNPCIは共同で、NETC FASTagプラットフォームでの電気自動車(EV)充電決済を導入している。NETC FASTagプラットフォームを通じて、EV所有者は、EV充電サービスをより簡易に利用できるようになる。これにより、非接触取引、リアルタイム監視、安全な決済のメリットがEV充電エコシステムにもたらされるそうだ。

NPCIは、顔認証によるAePS(Aadhaar Enabled Payment System)取引の相互運用性を実証し、UIDAI によって導入された。UIDAIが導入した顔認証方式は、認証のための指紋や虹彩のような外部デバイスが不要だ。現在、Android端末(OSバージョン7以上)で操作可能だ。同イベントでは、自助グループ(SHGs)を支援するためのAePS向け二重認証サービスも紹介した。複数の署名者が銀行取引を実行する必要がある場合に、相互運用可能な AePS 取引を促進するために、二重認証をサポートする。銀行取引の実行には複数の署名者が必要だが、SHGと同様、共同責任グループ(JLGs: Joint Liability Groups)やその他の共同運営口座も利用できる。

NPCIは、モバイル・バンキングやインターネット・バンキングなどのバンキング・チャネルにおけるIMPSのユーザー・ジャーニーの簡素化を発表した。インターネットバンキングなどの利用者は、受取人の携帯電話番号と銀行名を入力するだけで取引ができるようになる。これは、リアルタイムでの受取人名認証を実施。簡素化されたIMPSの資金移動の流れは、法人だけでなく個人にも拡大できる。これにより、受益者を追加することなく送金が可能だ。

また、NPCI は IMPS バーチャル番号を利用したクレジットカード請求書決済を導入した。これは、利用者の携帯電話番号とIMPSの利用者番号の組み合わせである16桁のバーチャル番号のみを使用する。利用者の携帯電話番号とクレジットカードの下4桁を組み合わせる。同機能は、顧客のカード機密データを保存しない決済アプリにとって特に有用だという。

NPCI Bharat BillPay Limited. Ltd.(NBBL)は、Bharat BillPay Ltd(インド政府住宅都市省)が考案した相互運用可能な交通カードである「NCMC」を追加し、サービスを拡大することを発表した。SBI NCMCは同カテゴリーに参加した最初の請求者となり、今後さらに多くの請求者が参加する見込みだ。顧客は100ルピーから最大2,000ルピーまでの金額を、Bharat BillPayが利用可能なチャネルから、UPI、デビットカード、デビットカードなどのサポートされた支払手段を介してリチャージできる。同機能により、利用者が公共交通機関を利用時に手間をかけずに利用できるようにする。

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