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Visaが語る日本での5年後の決済シーンは? 分割払いやロイヤリティ、法人ソリューションも強化

2023年12月26日10:00

ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は、2023年12月13日、国内における今後の戦略について記者説明会を開催した。当日は、同社 代表取締役社長 シータン・キトニー氏がこれまでの取り組みや今後5年間の戦略について紹介した。

ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役社長 シータン・キトニー氏。トークンの推進に加え、新たなロイヤリティソリューション、法人ソリューションの投入などについて語った

5年後は決済が日常生活の主役に
フレキシブルペイやCO2排出量算定サービス等を提供

日本ではここ数年、決済市場で大きな飛躍を遂げた。5年前と比較して、技術やユースケースも広がってきた。また、イノベーションの加速によって、日本の決済エコシステムの潜在能力をフルに発揮することが求められている。例えば、決済市場は早いペースで革新しているが、デジタルアイデンティティはやや遅れ気味で、生成AIによる不正検知能力と顧客体験をより向上させていく必要があるという。さらに、「フリクションレスの決済環境」「相互運用性の確保」「継続的にセキュアな環境」「カードやモバイルによりオンライン/オフラインで1日のニーズが満たされるエコシステム」が求められるとした。

Visaでは、5年後の目標として、「日本のエコシステムが世界で最もスマートでパーソナルなものとなり、消費者の日常の主役となること」だとしている。

そのビジョンを達成するためにさらなる一歩を踏み出している。例えば、Visaのタッチ決済対応カードの発行は1億枚を突破。カード発行枚数は、この4年で10倍に伸びている。公共交通機関におけるVisaのタッチ決済導入は拡大しており、発表数はアジア太平洋地域で最大のプロダクト数となった。

三井住友銀行と三井住友カードの「Olive(オリーブ)」では、Visaが新たに開発した発行会社向けの機能を使用したサービスである「フレキシブルペイ」を世界で初めて導入している。

スマートフォンやタブレットを活用した「Tap to Phone」は、新たな加盟店の受け入れシステムとして、アクセプタンス拡大と利便性向上につながっている。

さらに、法人カードの決済データに基づくCO2の排出量の算定に、VisaのCO2排出算定ソリューションが採用された。国内事例として、三井住友カードの法人カードと三井住友銀行の「Sustana」による、CO2排出量算定サービスが挙げられる。

国内の決済のトレンドとして、EC市場は今後のさらなる拡大が期待される。例えば、物理的なPOSや決済端末での取引、ブラウザを介した取引の間の境界線があいまいになっている。今後は、SRC(Secure Remote Commerce)の動きも加速していく。また、モバイル決済は2025年までに3兆円を超えるという。

法人市場においてもカード決済が拡大している。BtoB決済では、プロセスの効率化や優れたユーザー体験を求める動きがある。また、SaaSを活用した業界特化型のソリューションの提供、デジタルツールを活用した組込型金融やフィンテック(FinTech)に対する機能の高まりもみられる。さらに、大手デジタル事業者による中小企業に対するワンストップソリューションの提供も行われている。

一方で、インフラ面の課題からエコシステム発展に対しての阻害要因が存在する。例えばトークンの導入が不十分、データ品質が最適ではない、一貫性のないDXといった点だ。

タッチ決済は55プロジェクト、28都道府県に拡大
Visaトークンサービスに加えVisa Directも準備

Visaでは、さらなる成長に向けて、パートナーと決済の未来を実現するための3つの戦略的な柱を紹介した。

1つは、「市場の成長や機会創出」であり、プログラムとして、タッチ決済、トランジット、Visaトークンサービス、Visa Directを挙げた。

タッチ決済は、2017年から2020年までは基本的なインフラを構築。ユースケースは拡大し、日常利用が広がった。2023年時点で4件に1件(25%)がタッチ決済とった。主な日常使いのカテゴリーとして、2021年9月と2023年9月を比較すると、コンビニエンスストアは4.4倍以上、飲食店は9.4倍以上、ドラッグストアは7.0倍以上、スーパーマーケットは4.3倍以上となった。また、Visa加盟店における非日常加盟店でのタッチ決済取引の比率が7%から21%と伸びている。大丸松坂屋百貨店をはじめ、より高額帯の店舗での利用も増えてきた。

公共交通機関では、2023年12月現在、55プロジェクト、28都道府県でプロジェクトが展開、もしくは発表されている。

クレジットカード不正利用額は増えているが、その対策として有効なトークン化に力を入れている。トークン化による世界の不正取引金額の平均減少率は28%となる。また、トークン化による世界のeコマース取引での承認件数の平均増加率は+3%と高まっている。さらに、リアルタイムで細心のクレデンシャル情報にアップデートされ、より良いUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供しているそうだ。

なお、本格的なVisaトークンサービスの提供は、2021年5月のApple Payへの対応開始となるが、最初にVisaトークンサービスを決済技術として使用したものは、2018年5月開始のGarmin Payとなるそうだ。

Visa Directは、国際決済ネットワークで、リアルタイムな資金移動が可能だ。国内ではまだ展開されていないが、「いくつかのお客様と話しており、できるだけ早く提供していきたい」とキトニー氏は意気込みを見せる。

VAUでカード情報更新簡素化、VISで新たな分割払い
VLSでデータ利活用が可能に

2つ目の戦略の柱は、「人生をより豊かに充実させるよう寄り添って支援」することだという。

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