2024年4月4日8:50
東京都の板橋区商店街振興組合連合会などが運営するデジタル地域通貨「いたばしPay」が順調な滑り出しを見せている。区内の消費活動・経済循環を促進させるとともに、「新しい生活様式」に対応したキャッシュレス決済の推進に加え、行政ポイントの活用やアプリを通じた情報配信などによる、地域住民・事業者間の「つながり」を推進することを目指しており、ユーザー数は開始1年余りで10万ユーザーを突破し、加盟店数は1,300店舗に達し、流通総額は52億円超になっている。
キャンペーン効果でユーザー数増
加盟店拡大を牽引
板橋区商店街連合会 専務理事 事務局長 白石淳氏は「立ち上がりは加盟店数が伸び悩みましたが、利益還元のキャンペーンを続けている効果で、想定より速いペースでユーザー数が拡大しました。『いたばしPay』を使いたい買い物客が増えると、それに影響されて、加盟店数も少しずつ伸びています」と手ごたえを口にする。
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「いたばしPay」は、東京都板橋区(坂本健区長)の支援のもと、板橋区商店街振興組合連合会および板橋区商店街連合会が運営する、板橋区を対象とするデジタル地域通貨だ。物価高の影響を受ける区民と、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少している区内事業者の支援を目的に、2022年10月に提供開始した。
「いたばしPay」は、アプリ(無料)をダウンロードすれば、板橋区民以外も利用できる。利用可能店舗は、板橋区内の約1,300店舗で、全国のセブン銀行ATMでチャージできる(セブン銀行ATMが設置されている施設の営業時間外は利用できない)。チャージ金額は1,000円単位で、チャージ上限は10万円。交換単位は1円=1コイン。有効期限は、チャージ日の翌年末となる。
いたばし愛や健康寿命
エコ意識を高める機能が盛りだくさん
「いたばしPay」は、板橋区に対する地元愛を高めるさまざまな機能を追加している。2023年9月には都内初の試みとして、健康に関する活動をデジタル地域通貨と連動させ区民の健康と経済の支援を目指す「いたPay健幸ポイント」制度をスタートさせた。「いたばしPay」内で1日の歩数や食事を記録すると「1ポイント=1円」として使えるポイントが貯まる制度で、開始から約3カ月で1万6,000ユーザーが参加し、延べ1万5,000超のユーザーが1日あたりの歩数8,000歩を達成するなど、利用者の9割の健康意識向上に貢献している。
また、板橋区内のおすすめスポットやグルメ情報の検索、散策ルートの自動作成などができる観光アプリ「ITA-マニア」との連動企画により、区内を巡るデジタルスタンプラリーの景品やフォト川柳コンテストの賞品に「いたばしPayポイント」を付与する取り組みを開始した。さらに、区民・事業者の省エネ行動推進を目的とする「いたばし環境アクションポイント事業」においても「いたばしPayポイント」が採用された。
2024年以降は、これらの取り組みを強化しながら、公式キャラクター「いっペイたくん」のWebサイトへの専用コンテンツの追加やグッズ展開拡大、キャンペーン活用なども進め、「いたばしPay」を区へのエンゲージメントを高めていくインフラへと成長させていく予定だ。白石氏は「健康寿命や地球環境に対する意識を高める機能を持つデジタル地域通貨『いたばしPay』を媒介として、地域のつながりがますます強くなるという期待が膨らんでいます」と話す。
「せたがやPay」の背中を追って
加盟店数2,000、利用者17万~18万人を目指す
「いたばしPay」は、フィノバレーが展開するデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy(マネーイージー)」のシステムを活用している。マネーイージーは、支払方法として二次元コード読取方式を採用しているため、店舗側での初期投資や手間がかからず導入できる。また、自治体でのプレミアム付商品券事業や行政ポイント(市民活動・ボランティア支援、健康増進活動支援など)などの運用も実施できるという。
板橋区では、紙の商品券も展開しており、デジタルを敬遠する高齢者には好評で、加盟店数は1,500を数えるという。「いたばしPay」の当面の加盟店獲得数の目標は、24年内に紙の商品券と同じ1,500に据えている。白石氏は「スーパーや家電量販店など大型店にも加盟してもらっていて、大きな金額が使われています。今後は、地元の中小店舗にもっと参加してもらおうと、優遇キャンペーンを展開しています。デジタル地域通貨のトップランナーで、同じマネーイージーを使っている『せたがやPay』を目標にしており、加盟店数は2,000、利用者数は区民数の3分の1にあたる17万~18万人を目指したいです」と意欲を示している。
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