2024年6月17日7:48
アメリカン・エキスプレスは、2024年6月13日に記者説明会を開催し、飲食・卸業や農業・畜産、医療関連業など、さまざまな業界から約1,000名を対象とした「企業間決済のキャッシュレス化に関する調査」の結果を発表した。当日は、国内大手の酒類販売事業者であるカクヤスグループ 代表取締役社長兼CFO 前垣内 洋行氏 、スマートガバナンス 代表取締役共同創業者 落合 孝文氏、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 加盟店事業部門 副社長 谷川 美紀氏によるパネルディスカッションも実施した。
左からアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 加盟店事業部門 副社長 谷川 美紀氏、カクヤスグループ 代表取締役社長兼CFO 前垣内 洋行氏 、スマートガバナンス 代表取締役共同創業者 落合 孝文氏
アメリカン・エキスプレス、建設・建築業界における企業間決済の課題と対策を紹介
支払のクレカ利用は請求側の約2倍
効率性が効率性が決め手に
アメリカン・エキスプレスは、法人向けのビジネスを強化している。経済産業省の調査によると、2023年のキャッシュレス比率は約4割に迫った。一方で、企業間決済においてはこの傾向と異なり、780兆円の市場規模を有しているにもかかわらず、キャッシュレス取引額は約5兆円程度にとどまる。調査結果を発表したアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 広報部 松本りえ氏は「この部分はまだまだ伸びしろがあると考えています」と話す。昨年までの調査の結果、インフレや人材不足に直面している日本国内の中小企業においては、バックオフィスの生産性の向上が喫緊の課題となっており、決済のデジタル化推進によるバックオフィスの業務効率改善が必要と判明した。
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 広報部 松本りえ氏
4月の調査では、日本における企業間決済の実態と課題を明らかにし、同分野におけるキャッシュレス化の見通しを明らかにするためだ。実施対象者は、経営者、経理担当者、自営業など20代~70代の男女1,030名となっている。また、同調査では、飲食卸や商社など、お金を受け取ってサービスや商品を提供する企業である「請求側」、飲食・小売店など、サービスや商品を購入して自社の製品やサービスに役立てる企業である「支払側」という2つの側面から回答してもらった。
まず、企業間取引における主な決済方法として、銀行振込、口座振替、現金の順に多く、クレジットカードは4番手となった。支払いでクレジットカード払いを利用している回答者は38.9%、請求での利用は22.2%となり、支払い利用が請求の約2倍と先行して浸透している結果となった。さらに、手形に関しても、支払いで25.2%、請求で21.3%と1/4の回答者が継続利用していることが分かった。
2022年の調査と比べると、銀行振り込みが支払い側の決済方法で94.1%から79.8%、請求側で89.4%から73.1%と減少した。
決済方法の選定理由については、主な決済方法である銀行振込、口座振替、現金において、利用者の約半数が「昔からこの方法だから」という商習慣から選択されている。クレジットカードは「効率が良いから」が52.7%と半数以上なり、効率性が決め手となった。また、効率化をサポートする決済方法として、決済代行サービスも台頭している。
クレジットカードは「効率が良いから」が52.7%と半数以上なり、効率性が決め手となった。また、効率化をサポートする決済方法として、決済代行サービスも台頭している。
企業間決済における課題として、支払いと請求の両面において、取引先ごとに異なる決済方法や支払いサイクルの管理が業務負担となっている。また、請求方法、支払い方法が一本化されておらず、取引先ごとに指定されているため、個別対応の業務が発生している。
キャッシュレス決済の導入のきっかけとして、 「インボイス制度導入」(21.1%) や 「電子帳簿保存法の実施・改定」(11.7%)が挙げられており、制度改革の後押しを受けて対応が進んでいる結果となった。取引先や競合企業といった周囲の変化を受けて、自社での取り組み(18.6%)を見直すきっかけになっている。
法人カードの保有率は約半数
合理化・手間の削減を実感
キャッシュレスの導入状況については、支払いは 4割以上が導入済みと回答した一方で、請求については 3割程度 と、請求側での導入が遅れていることがわかった。請求側で最も多かった回答は 「導入予定なし」(31.9%)となっており、請求側のキャッシュレス化が遅れているとした。
企業間決済でクレジットカードに寄せられる期待として、「クレジットカード決済で払いたい」、「クレジットカード決済を受け入れてほしい」という声が6割以上となった。また、取引先が対応するのであれば、5割以上が支払い方法を変更したい結果となった。
法人カードに関する調査では、企業間取引におけるクレジットカードの利用種別として、法人口座に紐づけた法人カード、コーポレートカード/ビジネスカードを使っている割合が50.3%となり、半数が使っていることが分かった。26.3%の人は個人のクレジットカードで立て替えている。企業間取引における個人カード利用時の困りごととして、「立替金額があるのでプライベートの生活に影響がある」という回答が26.8%、「公私の支払いの区別がつかない」が25.6%、「利用限度額の枠に制限にかかる」が25.6%と上位となった。
企業間決済における法人カード利用のメリットとして、法人カード決済利用者の利用理由は「経理事務・経費が合理化できるから」が36%、次いで「銀行振込の手数料や手間を削減できるから」が34.3%と続き、合理化・手間の削減を実感しているそうだ。
さらに、企業が直面している課題として、「人材不足」が41%、「物価の高騰」が37.7%、「労働人口の高齢化」が31.7%となった。また、事業成長に必要なことについての質問として、「新たな人材の育成・採用」が40%、「新しい技術やアイデアの採用」が24.8%、「自社のブランド力の向上」が24.7%となった。
松本氏は今回の調査のまとめとして、以下の5つを挙げた。
① 支払いでのクレジットカード利用は請求側の約2倍、支払い利用が先行して浸透
② 請求時は「支払いサイクルや管理」、支払い時は「取引先ごとのプロセスに対応」といった取引先に合わせた管理業務が負担に
③ インボイス制度や電子帳簿保存法の改定といった制度の改革が変化を後押し、支払う側では、3年後のキャッシュレス化が52.2%と半数超えに期待
④ 企業間決済においてクレジットカード決済の利用を希望する声は6割以上
⑤ 最も大きなメリットは業務の効率化。過去1年間で成長を実感している企業の約半数が法人カードを活用
カクヤスは回収の手間やコスト、貸倒リスクを勘案
DXの一環に、アメリカン・エキスプレスの目標
続いて、企業間決済のキャッシュレス化について、パネルセッションを実施。谷川氏は10年間にわたり、法人事業部で法人カードの普及と企業間決済のインフラを整備する立場だったが、1月から加盟店事業部においてインフラ拡大の役割を担っている。また、FinTech部門の専門家である落合氏、法人決済を行うカクヤスの前垣内氏が登壇した。カクヤスは、車両台数1,200、店舗などが254拠点ある。関東に加え、関西、九州にも拠点を設けている。飲食店酒屋、一般家庭などへの365日年中無休の時間帯配達事業に加え、店頭販売事業、ルート配達事業を実施。今後は酒類に限らない総合物流企業を目指しているそうだ。
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The post アメリカン・エキスプレス BtoB決済は成長途上、手数料を上回る付加価値とは? first appeared on ペイメントナビ.