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(2)エンベデッド・ファイナンスとFinTechとBaaS(Banking as a Service)

2024年7月26日8:00

現在のエンベデッド・ファイナンスは、“FinTech”と“BaaS”(Banking as a Service)によって、スマートフォンやクラウドなどの最新テクノロジーを活用し、いわゆるペイメント(決済、送金)サービスだけでなく、融資、資産運用、保険などのさまざまな高度な金融サービスを提供するものである。欧米のエンベデッド・ファイナンス(Embedded Finance、組込金融)シリーズの第2回目は、エンベデッド・ファイナンスと“FinTech”と“BaaS”(Banking as a Service)について触れておきたい。

和田文明

■連載
1、エンベデッド・ファイナンスの歴史
2、エンベデッド・ファイナンスとFinTechとBaaS(Banking as a Service)
3、アメリカのエンベデッド・ファイナンスは
4、エンベデッド・ファイナンスの三つの役割
5、Weavr(ウィーバー)のエンベデッドファイナンスクラウド

エンベデッド・ファイナンスとFinTech

FinTechは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語であり、領域を示す言葉で、新しい金融サービスやプロダクトを提供するフィールドを指す言葉である。FinTechは、伝統的な金融機関に対して、効率性、利便性、顧客体験 (CX)の改善などをもたらす革新的なソリューションを提供するものである。

一方、エンベデッド・ファイナンスは、FinTechの進化の一部であり、ユーザーが金融サービスにアクセスする方法を変えるものであり、金融プロダクツを非金融の顧客体験 (CX)、プラットフォームやジャーニー(journey)に組み込むことで、ECサイトで決済機能を提供したり、SaaS(Software as a Service)に請求書発行機能を組み込んだりする。これにより、ユーザーはわざわざ金融機関の店舗やオンラインサイト、あるいは金融機関のアプリを開かなくても、シームレスに金融取引やサービスを行うことができる。

こうした“FinTech”を活用したエンベデッド・ファイナンスは、次のようなシーンで金融サービスが組み込まれている。

・カスタマーロイヤルティ
顧客ロイヤルティプログラムの一環として、クレジットカードやポイントプログラムを提供するアプリ
・デジタルウォレット
デジタル決済や送金を行うためのアプリ
・会計ソフトウェア
企業や個人がビジネスを管理するためのソフトウェア内で金融サービスを提供
・ショッピングカートプラットフォーム:
オンラインショッピングの際に支払いやローンを組むためのプラットフォーム

 (表)は、“FinTech”とエンベデッド・ファイナンスとを比較したものである。

(表)FinTechとエンベデッド・ファイナンスの比較

項目

FinTech

エンベデッド・ファイナンス

定義

金融とテクノロジーを組み合わせた革新的な金融サービス

金融サービスを他の非金融サービスの中に組み込むこと

提供主体

FinTech企業

非金融企業

サービス内容

決済、送金、融資、資産運用、保険など

左記に加え、請求書発行、経費管理、サブスクリプション管理など

顧客体験 (CX)

金融機関のサイトやアプリを利用

非金融サービスを利用している流れの中でシームレスに利用

各種資料より作成

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