2024年10月10日8:00
鉄道会社が駅構内などに設置したスマートロッカーを活用し、宿泊先や自宅に荷物を届ける「手荷物配送サービス」に参入する動きが目立つ。これまでも宅配便の受け取りなどに向けて設置を拡充してきたが、昨今のオーバーツーリズムを踏まえ“手ぶら観光”の推進につなげる。ロッカーの利用は事前のオンライン決済か、交通系電子マネーによる即時決済となる。
記事のポイント!
①JR東日本がロッカーの多機能化と駅の物流拠点化を推進
②指定ホテルへの配送、全国どこでも配送が可能に
③西武グループは都内でホテル配送開始
④JR西日本は大阪エリア、尾道エリアで展開
⑤「2024年問題」や「オーバーツーリズム」解消に期待
■JR東日本がホテルや自宅への荷物配送に着手
JR東日本グループは2024年9月から、駅内外スマートロッカー「マルチエキューブ」に預けた手荷物を宿泊先のホテルや自宅などの指定場所に届けるサービスを始めた。これまでは預け入れや宅配便の受け取りサービスに対応してきたが、発送機能を加えることでロッカーの多機能化と駅の物流拠点化を推進する。
マルチエキューブを軸とした発送サービスの活用は、出張や観光などの移動時間・距離のロスを防げるほか、オーバーツーリズムによる駅や交通機関、観光地での混雑緩和にもつながる。事前予約で利用するため、現地でロッカーを探す手間も省くことができる。
「手荷物配送サービス」には、ロッカーに預けた荷物を当日に指定ホテルに届ける「ホテル即配サービス」と、自宅など指定場所に届ける「どこでも配送サービス」がある。いずれも専用WEBサイトで事前予約し、配送先の情報などを入力して決済。マルチエキューブロッカーの操作パネルに予約番号を入力するか、 QR コードを読み取らせて荷物を預ける。
両サービスとも予約には会員登録が必要で、登録したクレジットカードか、当該ブランドのデビットカードまたはプリペイドカードによる事前決済に限られる。
「ホテル即配サービス」の利用が可能なのは東京駅、新宿駅、上野駅、品川駅、池袋駅の10カ所に設置したマルチエキューブで、東京 23 区内及び浦安市内にある約500のホテルが対象。「どこでも配送サービス」は東京駅、新宿駅にある3か所のマルチエキューブで、配送先は一部地域を除き日本全国が対象となる。
「手荷物配送サービス」の利用料金はサイズにより決まっているが、新たに立ち上げた「マルチエキューブ WEB サイト」のプレミアム会員には1件につき500円の割引を適用。プレミアム会員は月額 500 円の会費が必要なものの、そのほかにも特典を受けられる。
「1台4役」(予約・預入・受取・発送)を実現(出典:JR東日本グループ)
■都内で実証実験を始めた西武グループ
西武グループはかねてより協業するSPACER社とともに、24年9月より首都圏でスマートロッカーを活用した手荷物配送サービス「pikuraku PORTER(ピクラクポーター)in東京」の実証実験を開始。池袋駅、西武新宿駅、豊島園駅の計4カ所に設置されているスマートロッカーに 14 時までに荷物を預ければ、首都圏の約500ホテルの中から指定した宿泊先へ原則 19 時までに手荷物を配送する。実証実験は25年3月末日までを予定している。
SPACER社のスマートロッカーを利用し、西武グループは21年よりコストコ商品などの即日受け取りができるサービスを開始。今回、新機能として手荷物配送サービスを加えたことになる。「pikuraku PORTER(ピクラクポーター)in東京」を首都圏でも広め利用者を増やすことで、手ぶらでの観光や移動を推進。交通機関の混雑解消など、持続可能な観光地域づくりにも貢献する。
「ピクラクポーター」を利用するのに予約は不要。空いているロッカーのタッチパネルから「ホテルに送る」を選択して発送手続きに進み、「PASMO」や「Suica」など交通系電子マネーで決済を完了する。ポストペイ(後払い)の「PiTaPa」は利用できない。
料金はサイズにより異なるが、10月31日まではキャンペーン価格で割引となる。1扉に入るサイズであれば、荷物を何個送っても料金は一律。日本語、英語、韓国語、中国語の言語に対応している。
交通電子マネーで決済する(出典:西武グループ)
■JR西日本グループは大阪万博なども視野に
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