2024年10月11日8:30
A2Aペイメント(Account to Account Payment、口座間決済)の4回目は、A2AペイメントにおけるPush(プッシュ)PaymentsとPull(プル)Paymentsについて紹介してみたい。
■連載
(1)A2Aペイメント(口座間決済)スキームとは
(2)A2Aペイメント(口座間決済)サービスのスキームとテクノロジープロバイダー
(3)ヨーロッパのA2Aペイメント(口座間決済) 前編・後編
(4)プッシュペイメント(Push Payments)とプルペイメント(Pull Payments)Pull Payments
広義のA2Aペイメント(口座間決済)には、Push(プッシュ)PaymentsとPull(プル)Paymentsがある。Push(プッシュ) Paymentsは、支払い側(Payer)が受取人(Payee)やマーチャント(カード加盟店)の銀行口座を指定し、資金を送るというクレジットトランスファー(ダイレクトクレジット)の決済方法である。これは、従来のクレジットカードやデビットカードの決済方法の“Pull”(プル、引き出す)の“Funds from Payments”と逆のペイメント電文の流れであり、各種Fund Disbursement(資金の支払い)のほか、加盟店提示型のQRコード決済、カード口座間のP2Pの資金移動(送金サービス)などが可能となる。
Push(プッシュ) Paymentsの具体的な例としては、VisaやMastercardが推進しているペイメントイノベーションにPush(プッシュ) Paymentsがある。
Visaは、“mVisa”のモバイル財布アプリをインストールしたモバイルフォンを用い、モバイル財布の“mVisa”にクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードの紐づけを行い、友人や知人などとのクレジットカード口座間の資金移動による送金やQRコードによるショップでの近接型のモバイルペイメントの“mVisaQR”をアジアのインド、インドネシア、パキスタン、ベトナム、カザフスタンのほか、アフリカのケニア、ガーナ、ルワンダ、エジプトなどの新興国や発展途上国で展開している。
Mastercardは、“Masterpass”のモバイル財布アプリをインストールしたモバイルフォンを用い、Masterpassにクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードの紐づけを行い、友人や知人などとの口座間の資金移動による送金やQRコードによるショップでの近接型のモバイルペイメント“Masterpass QR”を2013年からアジアやアフリカ、中東などの新興国や発展途上国を中心に展開している。
Push(プッシュ)PaymentsとPull(プル)Paymentsの比較
広義のA2Aペイメント(口座間決済)におけるPush(プッシュ) PaymentsとPull(プル) Paymentsには、それぞれ異なる特性と利点を持つ決済方法である。
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