2024年12月9日8:30
決済やDXサービスを提供するネットスターズ、香港のLUN Partnersは、2024年11月20日に「INTERNATIONAL FINANCIAL TECHNOLOGY FORUM」を開催した。同イベントは、「産業を進化させるデジタル革新 世界をつなぐフィンテック」をテーマに、日本と世界をつなぐキャッシュレス決済事情、グローバルな視点で見た日本市場の可能性、デジタルが切り開く金融の未来について、国内外の第一線で活躍する有識者がr登壇した。同イベントのディスカッションでは、「JPQR とグローバルな QR コード決済基準の接続、メリットおよび国際的な展開の見通し」について、ネットスターズ 取締役 COO 長福久弘氏、一般社団法人キャッシュレス推進協議会 常務理事 福田好郎氏、インドネシア中央銀行決済システム部長(Director, Bank Indonesia – Payment System Department)のドゥディ・デルマワン(Dudi Dermawan Saputra)氏が登壇した。モデレーターは、一般社団法人キャッシュレス推進協議会 執行役員 鈴木麻友氏が務めた。
左からネットスターズ 取締役 COO 長福久弘氏、一般社団法人キャッシュレス推進協議会 常務理事 福田好郎氏、インドネシア中央銀行決済システム部長(Director, Bank Indonesia – Payment System Department)のドゥディ・デルマワン(Dudi Dermawan Saputra)氏、モデレーターの一般社団法人キャッシュレス推進協議会 執行役員 鈴木麻友氏
「JPQR」の国際連携を進める
ネットスターズが国際スイッチャーに
キャッシュレス推進協議会は、2018年に「JPQR」という決済用のQRコードの規格統一の策定を行ったが、現在は国際連携を進めている。日本国内での決済サービスはさまざまなバーコード・QRコードを使っており、店舗において何枚もQRコードを置く状況が続いていた。そういった背景も踏まえて、日本でも1枚のコードで済めば便利であると考え、同協議会でJPQRを策定したという。国際基準(EMVCo 仕様)準拠の統一 QR コードがアジアのさまざまな国で使われており、同規格に基づいて日本版のJPQRを策定したという。JPQRの国際連携をする際には、金融庁、経済産業省、実際に支払いサービスを提供する決済事業者などさまざまなプレイヤーとの協力が必要だ。同協議会の立ち位置として、関係者と協力し、QRコードやシステム的な仕様などルールを策定している。
海外のQRコードを利用する人の来日時、日本のJPQRのコードを読むと、EMV Coが策定した規格に沿ったコードにより、日本国内で策定されたものであると把握できる。海外のスイッチャーを介して日本側に問い合わせると、日本側で利用した店舗の情報を戻す。また、支払い金額を入力すると、スイッチャーを経由して日本側の決済事業者に知らせる。これは、インバウンドのケースだが、日本人が海外を訪れた際のアウトバンドはこの逆の形で実現される。
なお、電文スイッチングや精算を行うスイッチャーの役割を担う事業者は国内になかったが、ネットスターズが国際スイッチャーの役割を担うシステムの構築を経済産業省の補助金を活用して進めている。同協議会ではその結果を見据えながら、スイッチャーを決定していくそうだ。同取り組みは、政府からの支援を得ており、国際的な会議や政府のアジェンダでも紹介されている。
8カ国と連携に向けた動き進める
大阪・関西万博の開催がフックに
すでに経済産業省はカンボジア国立銀行、インドネシアのインドネシア銀行と統一 QR コード決済分野における協力に関する協力覚書(MOC)をそれぞれ締結し、交換している。現在日本では、インドネシア、カンボジア、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、インドの8カ国と会話しており、「来年、日本では大阪・関西万博が開催され、海外から多くのお客様がいらっしゃいます。そういったタイミングも合わせて今準備を進めています」と福田氏は説明する。
JPQRの課題として、人々の多くが目にしたことがない点が挙げられる。そのため、JPQRを推進するにあたり、現在日本国内で10を超える決済事業者に加盟店を獲得してもらうアクワイアラとして協力してもらうように考えている。クレジットカード事業者やコード決済事業者が既存の加盟店網を活用しながら導入を広げていくという。
現状、インバウンドの利用者を受け入れる準備が先行しているが、あくまでも“相互連携”であるため、海外から日本に訪れる人だけではなく、日本人が海外に行った人も対象にしている。その場合、日本の〇〇Payが海外で利用できることになるが、国内の事業者と会話をしながら必要なシステム開発、技術の仕様について協議を進めている。
国際スイッチャーを担うとされるネットスターズは、日本でWeChat Payを一番最初に導入した実績を持つ。長福氏は「モバイルペイメントの日本の歴史で一番最初と言ってもいいくらいこの事業を推進してきた会社です」と話す。コード決済の黎明期は、WeChat Payをはじめとするモバイル決済の導入やマーケティング活動など普及に努めた。その後は日本の決済をつなぎこみ、国内外のマルチ決済に対応している。また、同社の仕組みはカタールの「ハマド国際空港」などで利用できる。同様の取り組みはモンゴル、カンボジア、ラオスでも準備しており、「今回のJPQRグローバルは精通する部分もあると思っています。今まで培った知見を活かし、JPQRグローバルの拡大に尽力していきたいです」と長福氏は意気込む。
QRISで金融包摂が進むインドネシア
今後の国際間連携のロードマップは?
インドネシアでは統一規格である「QRIS(クリス:クイック・レスポンス・インドネシア・スタンダード)」が2019年から導入されている。
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The post 日本の「JPQR」とインドネシアの「QRIS」などグローバルなQRコード決済基準の接続、メリットは? first appeared on ペイメントナビ.