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AIの金融・決済分野でのユースケース増加の中、課題も顕著に(Money20/20)

2025年10月31日8:00

2025年10月29日まで開催された「Money20 / 20」。同イベントでは、金融分野の各リーダーが登壇している。今回は、4日間の講演において、AIの注目すべきコメントについて紹介する。AIエージェントなど、今回はAIに関するセッションが多く、金融分野でのさらなる活用が期待されている。

AIの効果のプラス・スパイラルを実感
データ規制基準と有用性が異なる点が課題

Mastercardの最高AI・データ責任者、グレッグ・ウルリッチ氏は、「AIをより創造的に活用し、質の高いトレーニングを受けた企業は、効果のプラス・スパイラルを実感しました。一度AIに夢中になると、次のユースケースが見つかり、それをコミュニティと共有することで、人々が使い始めます。トレーニングに力を入れ、コミュニティの参加を促せば促すほど、AIの導入率は高まります。問題は、人々がAIを最大限に活用する方法や、ワークフローに組み込む方法を知らないことです」と発言した。

スタンダード・チャータード銀行 米国および南北アメリカ地域 CEO マンディ・デフィリッポ氏は、「米国におけるAIの活用機会に大変期待していますが、AIが発展途上市場にもたらす機会は、さらに大きな変革をもたらす可能性があります。しかしながら、AI導入の大きな障壁となっているのは、国によって異なるデータ規制基準と、そのデータの有用性です。データをより利用しやすくする問題を解決できなければ、AI技術のメリットとユースケースは阻害されるでしょう」とコメントした。

AI活用が進む中、信頼が重要な通貨の1つに?
AIエージェント間でのエンゲージメント増加

また、ドイツ銀行の最高情報責任者兼最高製品責任者、ジョアン・ハンナフォード氏は、「ドイツ銀行では、AIが自分の仕事を奪うことを心配している人は誰もいません。彼らはAIをどのように活用すれば、適切な時間に帰宅できるかを模索しているのです。最大の懸念は、AIを信頼できるかどうかをどのように判断するかということです。AIのトレーニングには相当な個人的な時間が必要であり、必ずしもその時間を確保できるとは限りません」としている。

アンスロピック最高製品責任者 マイク・クリーガー氏は「AIの能力は急速に向上しており、一部の製品は3~6カ月前とは比べものにならないほど変わってきています。今がAIにとって最悪の状況です」と懸念を示した。

バークレイズ米国消費者銀行 チーフ・マーケティング&エクスペリエンス・オフィサー、リリ・トモビッチ氏は、「AIディープフェイク、フェイクニュース、フェイクレビュー、アルゴリズムの不透明性といった時代において、顧客との信頼関係構築においてこれらが何を意味するのかを問う必要があります。私たちは恐ろしい時代に入りつつあります。AIがあらゆる方向から迫ってくる中で、信頼は現代社会において最も重要な通貨の1つとなるでしょう」とした。

コーナーストーン・アドバイザーズ チーフ・リサーチ・オフィサー、ロン・シェブリン氏は、「エンゲージメントは、優良顧客像とロイヤルティを高める行動について経営陣が合意することから始まります。合意が得られれば、それを測定するため追跡できる行動や活動を特定し始めることができます。今後、AIエージェント間でのエンゲージメントがますます増加するため、人間による顧客エンゲージメントのレベルは急激に低下していくことを念頭に置くことが重要です」と話している。

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