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環境変化に対応し、進化し続けるペイメントカードのセキュリティ基準、PCI DSS。日本企業のより積極的な関与に期待(PCI SSC)

2026年7月17日8:30

クレジットカードなどのセキュリティ基準である「PCI Data Security Standards(以下、「PCI DSS」)」を策定・管理するPCI SSC(PCI Security Standards Council)では、日本を重要なマーケットの1つと位置付け、日本企業のより積極的な関与に期待を寄せる。PCI SSCの日本に向けた最新の取り組み、国内における活動などについて、日本/韓国担当 リージョナル・ディレクター 坪井 淳一氏に話を聞いた。(決済不正対策のすべて2026

日本・韓国でPCIセキュリティ基準の重要性に関する啓発・普及促進に向けた活動を行う責任者に就任した坪井淳一氏

20年にわたるグローバルな取り組み
日本は最重要マーケットのひとつ

クレジットカードなどのグローバルなセキュリティ基準、PCI DSSが誕生してから20余年。その策定・管理を担うPCI SSCの最新トピックスとして、日本/韓国担当 リージョナル・ディレクターの坪井 淳一氏は、以下の3つを挙げる。

1つ目は、日本語サイトの刷新。PCI SSCのホームページは英語以外に6言語に対応しているが、そのうちの1つ、日本語の翻訳ページを拡充した。日本のユーザーの便宜を図ったもので、PCI SSCが日本を重要なマーケットと位置付けていることの表れといえる。

2つ目のトピックスは、恒例のアジア太平洋コミュニティミーティングが、今年は11月11日・12日にマレーシア・クアラルンプールで開催されることだ。昨年、タイ・バンコクで開催された同イベントには、日本から過去最多の約30名が参加。今年はそれ以上の参加が期待されている。

3つ目は、AIを活用した取り組みの拡大。PCIのステークホルダー各社はクレジットカード情報保護のためにAIを用いた革新的な取り組みを展開しており、PCI SSCではホームページ上のブログの連載企画として、これらの取り組みを紹介している。

PCI SSCは2026年で創立20周年を迎え、これを記念した特別デザインのロゴ(Celebrating 20 Years)を策定

AI活用におけるガイドラインを発表
環境の変化に合わせ、逐次更新を図る

最新トピックスの3つ目に関連して、PCI SSCでは2025年、PCI評価におけるAI利用に関してのガイドラインを発表した。その中には、AIはツールであって評価者ではないこと、評価は人が責任を持って行うべきで、AIの役割はあくまで専門知識の補完にとどまり、人に置き換わるものではないことが明記されている。

「決済環境へのAIの導入・活用において、してはならないこと、あるべきこと、状況によって認められることを整理し、そのうえでわれわれが考慮すべきハイレベルな原則を提示しました。これはPCI DSSのような要件ではなく、あくまでもガイドラインですので、すべてを網羅しているわけではありませんが、今後もAIの技術が進化し続けることを想定したガイドラインとなっております」(坪井氏)

AIは情報保護に活用されている一方で、犯罪にも使われている。この傾向は今後も続くと予想される。加速するAI技術の進化には、決済業界挙げての不断の観測と機敏な対応が求められよう。

決済環境の変化に対応し、PCI DSSそのものも進化を続けていくことから、バージョンアップについては継続的に検討が進められているという。

現場の意見を吸い上げ活動に生かす
より多くの企業の参画を歓迎

日本国内における最近の取り組みとして、PCI SSCでは2026年度第一四半期に、日本カード情報セキュリティ協議会(JCDSC)の依頼を受けるかたちで、PCI DSS V4.0.1の日本語版の一部修正を実施した。現在すでにPCI SSCのホームページでは、修正後の最新版が公開されている。

「V4.0.1のリリースから約1年半が経過する中で、PCI DSSの適用に直接携わるQSAの会社などがメンバーになっているJCDSCの部会で、修正の要望が挙がってきたのです。JCDSCとの修正点の突き合わせ、内部でのレビュー、PCI SSCのスタッフとのやり取り等に少々時間はかかりましたが、最終的に翻訳の正確性を担保しつつ、修正依頼に100%対応することができました」(坪井氏)。PCI DSSを実践するうえでの大切なパートナーであるJCDSCとの密接な連携関係を再確認する機会にもなったという。

また、PCI SSCでは、日本の決済業界のさまざまなステークホルダーとの対話を通して、現場の率直な意見を吸い上げ、活動やセキュリティ基準に反映させることに努めている。今後はより一層、対話の頻度やタッチポイントを増やしていきたい考えだ。

日本は世界の中でも重要なマーケットのひとつと認識されていながら、PCIの活動に深くかかわっている日本企業はまだまだ数少ないのが現状。坪井氏は「日本企業の参画をより強力に後押ししていきたい」と意気込む。トレーニングや試験を課さない、将来のPCIセキュリティ基準に影響力を持つことになるParticipating Organization(PO)としての参画などを、積極的に呼びかけていきたいとしている。

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