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Mastercardのデータ等から浮かび上がった旅行・観光トレンドは?日本は最大のシェア獲得

2024年5月27日7:05

Mastercardは、2024年5月16日、マスターカード・エコノミクス・インスティテュート(MasterCard Economics Institute:MEI)の「 Travel Trends 2024: Breaking Boundaries」において、アジア太平洋地域(APAC)の各市場の状況に関するオンラインメディアラウンドテーブルを開催した。当日はMastercard アジア太平洋担当チーフエコノミストであるデビッド・マン氏が解説した。

Mastercard アジア太平洋担当チーフエコノミスト デビッド・マン氏。自らも空港から旅行に向かうことをイメージして説明した

トップ10にアジア太平洋地域から半分
日本は2024年もフロントランナーに

MEIでは今回、世界74の市場を分析し、そのうち13の市場がアジア太平洋地域となっている。利用者に加え、観光当局、小売業者、ホスピタリティ業界、飲食業界、旅行業界など、さまざまな業界が、国やカテゴリー、さらには企業レベルで検討すべき戦略を支援している。顧客と一緒に予測とシナリオ分析を行い、KPIにどのような影響があるかについて、アイデアを提供した。「サードパーティのデータソースと独自のデータをMastercardの支出に関するデータプラットフォームと組み合わせることも重要な要素です」(デビッド氏)。調査ベースのデータに加え、Mastercardの実際の取引データに基づいている同レポートは比較的ユニークだという。

2024年の旅行業界は、特にアジア太平洋地域が非常に好調だ。パンデミック期間中の調査で完全に反映されていた旅行への強い欲求も非常に根強い。また、米国のように、アジア太平洋地域よりも早く開放されていた場所でも、海外旅行需要の根強さがみられる。米国内の人々のアウトバウンド旅行の増加の背景には、世界の他の市場と比較して為替レートが非常に高いことも一因となっている。

旅行パターンにも興味深い変化が見られた。旅行の回復の強さ、特にアジア太平洋地域におけるこの勢いは今後も続く可能性が高いということだ。

同レポートでは、2024年と2023年を比較し、それぞれのケースで12カ月の取引データセットから、世界の旅行予約の変化とシェアを調べた。アジア太平洋地域の市場でのシェアは増加しており、実際、日本はこの期間に最大のシェアを獲得し、第1位となっている。トップ10には、ほかにもマレーシア、オーストラリア、韓国、インドネシアの4つの市場が入った。

アジア太平洋地域の旅行先は大きなトレンドでトップ 10 の人気スポットの半分を占めた

デビッド氏は「日本が旅行規模でこれほど勢いを増しているのを目の当たりにしていることは、大きな驚きではない」とした。日本は多くの特別な体験ができ、美味しい料理を味わえる魅力的な場所だが、円安の魅力もあり、2024年もフロントランナーであり続けると考えている。

アジア太平洋地域の旅客数が伸びる
中国からの旅行者は回復

旅客輸送量の回復が見込まれるアジア太平洋地域では、域内旅行の短距離化が特に好調だという。例えば、今年の夏のシンガポールからの旅行者の人気観光地の1つとしてオーストラリア・パースが挙げられる。また、今年はタイへの観光客数が完全に回復すると予想されており、2021年に比べてわずか数%ポイントしか減少していない。全体の数はまだ下回っているにもかかわらず、南アジアやASEAN地域など、より身近な地域からの入国者は、すでに2019年の水準を20%近く上回っているそうだ

日本は、文字通り世界中で№1のトレンドの目的地だという。過去12カ月間の世界の旅行予約数に占める割合は、ほぼ1%ポイント上昇している。強調したいのは、成長率の変化ではなく、シェアの変化であり、大きな要因は、1990年以来の安値を記録した日本円そのものだという。

特に3月の旅客者数のデータを見ると、旅行のピークシーズンを迎える前から、3月の訪問者数はすでに300万人を超えており、過去最高を記録している。また、中国本土からの入国者数は2019年比で36%以上減少しているが、その反面、2024年3月現在、例えばシンガポールから日本への入国者は2019年比で43%増加している。有利な為替レートは、日本を渡航目的に選ぶのに役立っている。

インドから日本への入国者数は2019年に比べて53%増加した。インドから日本への旅行は、今後数年間、そしてそれ以降も、さらに大きくなるという。インドは今後5年間で中産階級に入る人が2,000万人近く増えると思われ、すでに200万人が高所得者層に入ってきている。

また、インドからベトナムは、最近になって直行便が増便されたばかりだが、ベトナムへの旅行者が2.5倍に増加した。インドの2024年6月から8月までの目的地の航空券の割合の変化をみると、最大の勢いは、シンガポールとロンドンであり、特にシンガポールは高級ショッピングの目的地として見られている。

中国人の国内の旅客数については、1年前に旅行者が完全に回復し、今日でも2019年よりも約15倍上回っている。しかし、最新のデータでは、昨年半ば頃に急速に増加し、その後横ばいになっていた海外旅行は2019年と比較して約80%回復している。今年も回復が続くと思われるが、ビザの例外措置を増やし、国際線のキャパシティを増やしている市場が特に好調で、アジアからヨーロッパの一部、そしてもちろん中東まで特に上振れが見込まれる。

夏の間、観光客に選ばれる地域を先読み
体験やナイトライフを求める傾向も

MEIでは、夏の間、さらに多くの観光客が到着すると予想される場所を先読みした。

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